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目の奥には、カメラのフィルムに相当する網膜という膜があり、ここに多くの毛細血管が分布しています。
糖尿病になると血液の粘性が高くなり、網膜の毛細血管を詰まらせます。
網膜の血流が悪くなると、局所的に酸素や栄養が不足し、出血や腫れなどを起こして視力が低下します。
糖尿病網膜症は、進行度によって、単純型、前増殖型、増殖型に分けられます。
★は、糖尿病で障害を受けやすい部分 糖尿病になると眼科的な障害を受けやすい
糖尿病は、国内に700万人、予備軍を含めると1400万人いるといわれています。
糖尿病は、合併症が非常に怖い疾患で、網膜症、腎症、神経症がその三大合併症です。
眼の合併症は、診断されたときから、定期的な検査と治療を続ければ、確実に防げます。
しかし、実際には放置している人が多く、眼底出血などの症状が出てから受診される方が多いようです。
そのため糖尿病網膜症のある方の20%が失明の危機にさらされ、実際に毎年3000人もの人が視力を失っています(失明原因の第2位)。
単純型 |
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前増殖型 |
増殖型 |
糖尿病の網膜症は、このように徐々に進行していきますが、進行しても自覚症状がほとんどないことが問題です。 |
硝子体手術では、硝子体中の出血、混濁、増殖膜を取り除き、人工の眼内灌流液に置換して内部を透明にします。
また、網膜剥離があれば、網膜の牽引を解除し、眼内灌流液をさらに空気と置換し、網膜裂孔の周囲を光凝固して網膜を復位させます。
最近は、無縫合小切開硝子体装置の開発、広角眼底観察システム、眼内内視鏡、高速カッター、照明、硝子体の染色法などの進歩により、成功率は80%以上となっています。
硝子体手術の視力予後は、手術が早期か、レーザー治療が終了しているかなどで大きく変わってきます。病状が比較的軽い場合は、実用視力となることが多く、90%以上が成功します。
しかし、重症となってからの手術は70%程度の成功率で、手術が成功しても視力が0.1程度にとどまることもあります。
重傷な増殖糖尿病網膜症の1例
41歳男性 初診 LV=(0.02)
術後6カ月 LV=(0.15)