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斜視とは、正面を見たときに片方の眼の位置がズレている状態(左右の視線が異なる状態)のことをいいます。
一眼の視線に対し、他眼の視線が内側を向いているものを内斜視、外側を向いているものを外斜視、上側を向いているものを上斜視といいます。
両眼で見るときは正常で、片方の目を隠すことによって、眼位ズレを生じるもの
通常の斜視は、どの方向を向いても眼位ズレが同じですが、眼球運動に異常があると、方向によって眼位ズレを生じます。
前者を共同性斜視、後者を麻痺性斜視と呼んでいます。
1 眼筋・神経支配の異常
先天的または後天的に、目を動かす筋肉(外眼筋)の肥厚、繊維化、付着部の異常があると斜視になることがあります。
また、生まれつき外眼筋の異常神経支配があると斜視になることがあります。
2 遠視
強い遠視があると、近くを見る時に通常より強い調節が働き、それによって内斜視になることがあります(調節性内斜視)。
3 両眼視異常
立体的に見る能力や遠近感は、二つの目で見る事によってはじめて出来る能力です(両眼視機能)。
この能力は、成長とともに獲得されるものですが、発達の過程で障害が起こると斜視になることがあります。
4 視力障害
一眼あるいは両眼の視力が悪い場合は、斜視になることがあります。
斜視の治療は、原因によって異なります。
1 眼筋・神経支配の異常
正面視で斜視が強ければ、プリズムメガネを装用したり、手術によって、眼位を良好に保つようにします。
2 調節性内斜視
アトロピンなどを使った調節麻痺下で遠視の状況を調べ、メガネを装用します。
3 両眼視異常
状態に応じて眼鏡装用、訓練、手術、プリズム眼鏡装用を行います。
4 視力障害
メガネで屈折異常を矯正し、弱視訓練などで視力の向上をめざします。
視力の向上が難しく、いつも同程度眼位ずれがあるときは、手術を行います。
人間は、生まれた時から、はっきり見えるわけではありません。
生後まもない時から8歳頃にかけて、視力はゆっくり発達していきます。
この時期に、何らかの理由で視力の発達が阻害されると、視力が出にくい状態(弱視)となります。
1 両眼の著しい屈折異常(遠視、乱視、強度近視など)がある場合
2 両眼の屈折度に著しい差がある場合(不同視弱視)
3 強度の乱視がある場合(経線弱視)
4 斜視があるため、片方の目しか使っていなかった場合(斜視弱視)
5 眼瞼下垂や、目の手術後の眼帯使用などで、片方の目しか使っていなかった場合(形態覚遮断弱視)
6 先天白内障など、器質的眼疾患により、片方の目しか使っていなかった場合
斜視、固視の状態、屈折異常、他の眼科疾患がないかを調べます。
屈折異常を調べる時は、調節麻痺薬を使用します。
調節麻痺薬は、硫酸アトロピンもしくは、サイプレジンを使用します(どちらを使用するかは、斜視の有無などで決定します)。
屈折異常のある場合は、調節麻痺下に屈折の状況を調べ、メガネを装用します。
斜視のある場合は、斜視の治療も同時に行います。
器質的疾患があれば、その治療を同時に行います。
メガネ装用だけでは視力の向上が望めない時は、良いほうの目を隠して、弱視の目を使うように訓練します(アイパッチ訓練)。
斜視、弱視ともに、早期発見、早期治療が大切です。
幼すぎて検査が出来ないのではと悩まずに、あれ?と思ったら、まず検査を受けてみましょう。
根気強く検査を行い、治療を始めていきましょう。