1965年以来、高度な医療をやさしく提供
眼の周りには眼輪筋という、目の開閉に関わる筋肉があります。
眼瞼痙攣とは、意に反して、両眼の眼輪筋の痙攣が起きる病気です。
はじめは下まぶたがピクピクする、まぶたが下がってくるなどの訴えがあります。
まぶしさ(羞明)やまばたきの回数が多い(瞬目過多)などの訴えもあります。
進行すると、目が開けられなくなり、日常生活にも影響が出てきます。
原因は不明で、自然に治ることはほとんどありません。ドライアイを併発することもあります。
疲れたときに眼瞼がピクピク痙攣するといった症状を、眼瞼ミオキニアといい、眼瞼痙攣とは病態が違うと考えられています。
安静、サングラス装用、点眼薬などの対症療法で経過を追い、自然の軽快を待ちます。
疲労や目の不快感は、症状を悪化させるため、安静、点眼、強い光を避けるなどが試みられていました。
神経の興奮を鎮める作用を持つ内服薬、顔面神経ブロック、顔面神経の圧迫を取る手術なども行われていますが、原因が不明なため治療は確立されていませんでした。
そこで近年,ボツリヌス毒素による治療が試みられています。
眼瞼痙攣に対するボツリヌス治療 ボツリヌス毒素には、筋弛緩作用があるため、眼瞼痙攣に対しても有効であることが確認されました。
日本では1996年に眼瞼痙攣の治療として保険適応となっています。当院でも2001年からボツリヌス毒素による眼瞼痙攣の治療を開始いたしました。
眼周囲の眼輪筋の約6ヶ所に注射すると、1週間前後から効果が現れ、3~4ヶ月まで痙攣を抑制する効果が持続します。
症状が再発した場合には、再注射をします。副作用は、閉瞼不全に伴う流涙、眼の乾燥感、眼瞼下垂、複視などがあります。
筋弛緩剤、ある種の抗生物質、抗痙縮剤、抗コリン剤、ベンゾジアゼピン系薬剤、ベンザミド系薬剤、慢性の呼吸器障害のある患者、高齢者などでは使用できないこともありますので、医師にご相談ください。